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ある精神科医のうつ病体験記

最近、再びいろいろとうつ病関係の本を探して読み始めている。また、以前に「ビジネスマン『うつ』からの脱出」という本を読んでここで取り上げたが、12月からの休職に入って、改めてこの本を読み返してみた。以前はただ単に情報が欲しくて読んでいたが、今回は自分が鬱を再度悪化させていることもあり、うつ患者としての視点をより強めて読むことができたと思っている。

この本を読んだ上で、もっとうつのことが知りたいと思ったし、もっと違った視点で書かれたものはないのか、いろいろと(といってもWEB上だけだが)探してみて、とある本に出会った。それが今回紹介する「精神科医がうつ病になった」(著者:泉基樹氏)である。

amazonでレビューを見ると、「これはなかなかすごそうな本だ」と思うと同時に、精神科医としての視点と、うつ患者との視点を併せ持つ貴重な本かもしれないと思った。

読み終わったあとの感想としては、うつ患者になってしまった人も、うつ患者を身近に持つ人にも是非読んでもらいたい一冊であると思う。

実際に読んでみると、最初のほうは著者が精神科医になるきっかけや、うつ病が悪化していく状況、そして休職、復帰といった、一連の流れが描かれている。その内容は、私のようなうつ状態よりも壮絶なように思える。精神科医であるが故に、客観的に自分を診ることができる一方で、主観的な心理の描写もある。

この本が書かれたのはもう4年以上も前のこと。今よりは精神科、心療内科の受診者数は少なかったであろうとは思われるが、それでも、著者が勤務されていた病院での患者さんの病状や、そこの医療関係者に関する記述を見ると、精神科、心療内科というもの、また精神疾患患者への対応というのはものすごく難しいことなのだということを思い知らされた。

実は、私は自分が鬱状態に陥ったことで、例えば将来的には社内で同じように苦しんでいる人の役に立てれば、と微力ではあるものの、うつや精神疾患にに関する知識を集めたり、将来的にはそのような関係の部署への異動というものも考えたりしたこともあった。しかし、この本を読んで、その考えが如何に浅はかであったかということを思い知り、本当にそういった仕事に取り組むつもりであるならば、それなりの覚悟も必要だということもよく分かった。会社でのメンタルヘルス対策などは、この本の内容のような臨床精神科のような状態ではないであろうとは思うが、逆に職場だからこそのメンタルヘルス対策も同様に難しいであろう。精神疾患など人それぞれであるのだから、それは臨床でも職場での対応でも、マニュアル化で対応できるものではない。1対1での真剣勝負が必要になってくる。

この本の中での症例は、特に著者のことについて触れられている部分が多いが、うつ患者にとって、周りの理解やサポート、環境は治療のためにはものすごく重要だということを改めて思い知るとともに、周りの人間、とりわけ患者に近い人間(家族、恋人など)にとって、大変な重荷になる。いくら、それを理解できたとしても、やはり患者を支えるには周りの人間も相当のパワーが必要になるであろう。そう考えると、私の場合は、嫁さんにはこの1年半、ものすごく大きな精神的負担を強いることになり、辛い思いをさせてきたんだろうなと申し訳なく思う。今はかなり寛解してきたとはいえ、まだまだ完治と言う訳ではない。まだまだ波はあるとはいえ、元気なときにはできる限り精神的な負担をかけないようにしてあげたい。

著者の場合は、周りが精神科医や看護師といった、精神疾患患者のことをよく知る人達が支えとなってくれていたから、確かに環境的には恵まれていたのかもしれない。ただ、そうはいっても、周りの人間は専門家とは言えども苦労したであろうことは想像に難くない。

最後に、この本の中で共感した部分、そして、心に残った部分を一部だけ紹介したい。

・精神病への偏見をなくすために「うつは心の風邪」などと言う人がいるが、僕が思うに「うつは心の肺炎」だ。適切な治療を受けないと確実に命を落とす。

・「精神科にかかることは恥ずかしいことじゃない。でも、元気になったら、精神科にかかっていたことなんか忘れて、普通の生活ができるのが、患者の本当の幸せだ。」

・一つだけ、真似てはいけないことは「休息なしに抗うつ薬を服みながら強引に働くこと」です。

・この病は「克服する」とか「治す」ではなく、心に負担がかからないように、過労にならないように、自分の痛んだ心と「どうやってうまく付き合っていくか」という病のようです。

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コメント

この記事を読んで、自身の体験で思い出すことがいくつかありましたので、少し長くなるかもしれませんが、コメントさせてください。

ご存知かもしれませんが、私は社会人になってから大学で心理学を学びました。自分自身が抱えていた心の問題を解決する糸口が欲しかったのと、いずれはその経験を生かして心理カウンセラーになりたいと思ったのが入学の理由でした。

でも、臨床実習の授業で事例研究をしたり、臨床心理士として現場で働く講師の体験談を聞くうちに、生半可な気持ちでできる仕事でないことに気がつき、卒業したものの、けっきょくプロになる道は諦めました。

それでも、自分が体験した辛さや知識は決して無駄にはなっていないと感じています。辛い体験をしたから人の苦しみがわかるし、知識があるからこそ身近で心の病にかかった人に対して、多少なりともアドバイスや適した接し方ができるからです。

私にとっては、心理学を学ぶ=治療だったので、在学中は情緒的にかなり不安定で、夫にもずい分迷惑をかけました。いつもいつも、「ごめんね」が口ぐせでした。
今は申し訳ないという気持ちより、こんな私をよくぞ見捨てないでここまで支えてくれた、という感謝の気持ちでいっぱいです。ぐーたらな私は今でも迷惑かけっぱなしですけど(笑)。

あきちゃんさんの経験や知識は貴重ですよ。プロの精神科医や臨床心理士のような真剣勝負は無理だとしても、友人として、同僚として寄り添うことは可能です。そんなとき、あきちゃんさんの経験が自然と生きてくるのだと思います。

ひとりで暮らしながら自分と向き合っていた頃、私は友人たちからの優しさや励ましを少しずつ分けてもらって辛さを乗り切りました。ひとり一人の力は微々たるものかもしれませんが、でもそれはまるでパズルのピースのようなもので、集めたら大きな力になってくれました。どれが欠けても今の私は存在しないと感じています。

長々と書いてしまいました。ごめんなさい。

今年はたくさんのコメントをありがとうございました。

よいお年をお過ごしください。
来年もよろしくお願いいたします(^o^)。

投稿: そこそっこ | 2006年12月31日 (日) 03時37分

自分の経験を生かしたい気持ちは誰にでも生まれるような気がします。
私も思います。
でも、その重さを感じる記事でした。
この本を私も読んでみたくなりました。

今年1年お世話になりましたm(__)m
blogには励ましコメや客観的意見などを書き込んでいただき、とても参考になりました。
ありがとうございます☆
来年もひまわりはまったり暮らしていこうと思いますので、よろしくお願いしますm(__)m
では、良いお年をお迎え下さい♪

投稿: ひまわり | 2006年12月31日 (日) 18時32分

>そっこそこさん
そうでしたか。心理学を学ばれていたのはブログ内で拝見していたのを覚えてはおりましたが。

やっぱり、生半可な気持ちではできない仕事ですよね。医療関係ってそれがカウンセリングなどにしろ、場合によってはその人の人生を背負ってしまうことになりかねないですから。
ただ、きっと相談相手になったり、今、会社がやろうとしていることに対して、自分の経験したことを基に意見することは出来ると思っています。なので、多分直接関係することはないんだろうとは思いますが、身近な人たちの相談相手になれれば、くらいには思っています。

今年はブログの世界だけでしたが、いろいろとお世話になりました。本年もどうぞよろしくお願い致します。

>ひまわりさん
世の中にはいろんな鬱関係の本が出ていて、その中でもこの本は大変貴重な体験記だと思います。機会があれば、是非読んでみてください。ただ、内容が重いかもしれないので、気分が良くないときは避けた方がいいかもしれません。
この一年、ブログというツールを通してではありますが、ひまわりさんと出会えたことは良かったと思っています。いろいろ、思うがままのコメントだったので失礼なこともいったかもしれませんが、その点はご容赦のほどを。
また今年もよろしくお願いします。

投稿: あきちゃん | 2007年1月 1日 (月) 01時03分

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» 泉基樹著『精神科医がうつ病になった』(廣済堂出版)を読む。 [思いつくまま]
今年最初に読んだ本がこれ。{/book/}何かこの先を暗示しているのか。{/eq_2/} {/hiyo_shock2/} この本は、どこかのblogで紹介されていて、「通常のうつ病対策の本よりも、精神科の医師自身が病気になって、治るまでの内容が書かれていて、非常に参考になった。{/choki/}」などとコメントされていたのを見たため{/hikari_blue/}、思わず飛びついてしまった。 自分は、以前、仕事のストレスか... [続きを読む]

受信: 2007年1月11日 (木) 00時25分

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